正式名はウィルファース。通称、ウィル。MMOラグナロクオンライン狼鯖でHiWIZとアサクロと教授やってます。


by willfarth
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空想

くだらないと言われるかもしれないが、私はこういった話を聞いたり考えたりするのが結構好きだ。ちょっとした空想のお話だが、好きな人は読んでみるのもいいかもしれない。



「奇跡のオーブ」

ある所に一組の夫婦がいた。仲の良い二人だったが、ある日突然妻が病に倒れてしまった。病になった妻は瞬く間に衰弱し、寝たきりで意識不明になった。夫はなんとかして治そうと奔走するが、どんな薬も治療も効果がなかった。

途方にくれた夫が公園で空を見上げていると、呼び止める声がした。どこにでもいるような老人だった。老人は言った。どんな犠牲を払ってでも妻を助ける覚悟があるならば、その方法を教えようと。夫はどんなことでもすると答えた。老人は一つのオーブを取り出して言った。これを握り締め一心に妻の回復を願い、妻の額の上にかざせと。そしてこう付け加えた。繰り返すうちに白きオーブは赤みを増し、真紅に染まりし時お前は絶命するだろうと。

夫は頷くとオーブを持って妻の元へ帰った。早速オーブを使うと、不思議なことにどんな方法も効果のなかった妻の頬にわずかに赤みがさした。夫は喜び、来る日も来る日もオーブを妻の額にかざした。少しずつ回復を見せる妻と引き換えに夫は衰弱していった。

一か月が過ぎた。あともう一息という所で夫は力尽きかけていた。オーブは赤く染まり、もはや猶予がないことを物語っていた。夫は迷わなかった。たとえ我が身を引き裂き砕こうとも、妻を助けるつもりだった。夫が最後の力を振り絞り、オーブを妻の額にかざすと、ついに妻は目を覚ました。願いは叶ったのだ。だがその時すでにオーブは真紅に染まり、夫の運命を告げていた。夫はかすんで視界のぼやけた目をこらすと、ただ一言、「やあ、また会えたね。」と言って倒れた。驚いた妻が夫の元に駆け寄ったが、夫はすでに息絶えていた。とても満足そうなほほ笑みを浮かべて。

嘆き悲しむ妻の頭上で、何処からともなく声が響いた。夫が公園で出会った老人だった。「よくぞ最後まで恐れず諦めず、志を貫き通した。その信念と妻への愛に敬意を表し、今一度奇蹟を。」 老人の言葉が終わった時、ベッドの上にあったオーブが転がり落ちて、床の上で砕け散った。再び老人の声がした。「オーブはその男の身代わりとなった。少々惜しいことをしたが、まあよかろう。」言葉とはうらはらに、その声には喜びの色があった。そして老人の言葉通り、夫は息を吹き返した。
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by willfarth | 2006-05-30 21:29 | その他